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甘南備山逍遥 11 紀淡海峡、加太 四国山 | 2001.3.14 更新 | ||||||
少し前になりますが昨年の暮れに大阪府と和歌山県の堺にある加太という町の裏山に登ってきました。 加太といえば大阪の人はたいがいは知っています。もともとは漁港ですが、海水浴や潮干狩り、釣りに出かけるところです。淡島神社の雛流しの行事は毎年季節の話題として新聞に登場します。 登ったのは、高森山(285m)と四国山(240m)です。 |
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前日の宿泊地、加太国民休暇村からの夕景 | |||||||
目の前が紀淡海峡。友が島や淡路島、遠く四国まで見えます。 | |||||||
途中の山道は明るい林 | |||||||
国民休暇村の脇から山道に入り、高森山を目指します。しかし仰ぎ見れば土採り場が大きく行く手を阻み、遠くの尾根筋にダンプカーが走っているのが見えます。まだ道があるのかな、と不安になりますが、どんどん行くと土採り場をかすめて山頂に行きつきます。 この紀淡海峡は戦時中の重要な防衛ライン。友が島にも塹壕やら何やらの跡が残されていますが、こちら本土側にもそれらしきものの跡があちこちにあります。なんだか良く分からないレンガ造の竪穴。人間一人が降りられるくらいの大きさです。その竪穴の底は土に埋もれていますが、かつては横穴に通じていたのでしょうか。穴の脇には陸軍なんとかかんとかという古い小さな石碑が立っています。 山道は気持ちのいい、明るい林が続きます。海が見えるというのはいいものですね。 |
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土採り場が……(四国山頂上から) | |||||||
しかし本当のことを言うと、楽しくないハイキングでした。関西国際空港の埋め立て用の土はここから運ばれたわけです。見て下さい、大きな山がすっかりなくなってしまい、今は原野になっています。こんな乱暴な、山を丸ごとなくしてしまうような経済性だけで決めた造成計画ではなく、もっと原地形と自然を活かした造成ができないものなのでしょうか。設計者とその上司、その会社、これを許す行政の程度の低さと怠慢に憤りを感じます。(とはいえ本当は担当していた人だけの問題ではなく、日本の土地政策や都市計画制度の時代送れ的な疲労が問題なんですが) | |||||||
写真右手前は森林公園だそうです。山と木を削って平たくして、鉄筋の浮き出たコンクリートのベンチを置いて、森林公園とは、情けなくて…。これも、ふるさと何とか事業ということで補助金を(我々の税金)もらって作られたものでしょうか。いったい何人の人がここを利用して楽しんだんでしょうか。馬鹿なことをするにも程がありますよね。 皆さん、ここのハイキングは悲しいものがあります。確かに風は気持ちいい。でもこの景色を見なくてはなりません。歩きながらずっとダンプカーの唸りを聞かなくてはなりません。沿道に不法投棄されたごみの山に顔をそむけながら、南海加太線の西庄駅にたどり着く頃には疲れ果てていました。 |
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